他方、実物経済は時間がかかる。
設備投資をし、商品を作り、それが企業収益にはね返るまでには2、3年以上かかるのに、金融市場はそれを瞬時に実現してしまう。 だから、「常に金融マーケットはバブル(もしくは必要以上の悲観相場)」に陥ってしまう運命にあるといえるだろう。
しからば現在の株式市場、とくにアメリカの株式市場はバブルなのであろうか。 答えは「イエス」である。
一部の情報通信関連企業の株価は明らかに実態を越えるものである。 株価に「理論値」があるとは思えないが、ある調査機関の発表では、現在のアメリカの株価は「理論値」を50%以上超えているという。
したがって、悲観論をとるアナリストは、株の暴落、ハードランディングは不可避だという。 経済学の大御所であるH大学のK・ガルブレイス(名誉)教授なども、現在の状況は1920年代の大恐慌前夜と酷似しており、暴落必至だと主張している。
その可能性はもちろんゼロとはいえない。 株式市場はどのようなショックに、いつ見舞われないともかぎらない。
ショックが起こると人びとの強気の期待が一転して強度の悲観論に転じるかもしれない。 この時、ポジティブな期待は一瞬にしてネガティブな期待に転じ、株価は下方にオーバーシュートすることになる。
つまりバブルがはじけるだろう。 しかし、今回のバブルについていえば、大恐慌時のバブル崩壊、1990年における日本のバブル崩壊と同程度の株価暴落が起こる可能性は高くない、と著者は見ている。
その理由は、ベースに情報革命というきわめて大きな生産性上昇要因があるからである。 行き過ぎた株価が一時的に急落することはあっても、ベースにある経済構造変化が着実な生産性上昇を生み出し、経済にダイナミックな推進力を与える(と人々が信じている)かぎり、やがて株価は下げ止まり、再び上昇をはじめるだろう。

そういった見方が正しいとすれば、2、30%程度の株価の調整は十分ありうるとしても、それが決定的なバブル崩壊という形をとることはない。 そして、デジタル革命を担う企業が新たな時代を牽引する産業の主役として、旧世代の企業群を代替していく大きな流れも変わることはないであ1929年10月24日のウォール街の株式大暴落を契機として、アメリカは未曾有の長期不況に襲われ、失業者が激増、大恐慌へと発展していった。
ローズベルト大統領の「ニューディール政策」による有効需要政策や第二次世界大戦の特需で、ようやく沈静化した。 2000年21月15日。

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